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匠の相駕籠

ソフトウェア開発会社の日常とオピニオン - メメントモリ公式ブログ

フリーランスという働き方(ソフトウェア開発)

 ある人と話をしていたときに、実際フリーランスのシステムエンジニアってどうなのか、儲かるのか、そして会社勤めよりもいいのか、という話題になった。

 

 まず最初に知っておいていただきたいが、最近はやたらとフリーランスエンジニア募集とか、高額報酬を謳った広告などを目にする。こういうのが出てきたら、まずなんか怪しいなと思ったほうが良い。

 実際に条件面で嘘をついてるわけではないので、今の自分の手取り給料と単純比較して、めっちゃ儲かると勘違いし、安易に踏み込むような世界ではないと思う。

 

 

 第一に、現在システムエンジニアというのは人手不足で完全な売り手市場(応募する側が有利な市場)である。

 とにかくどの企業も、力のある技術者が喉から手が出るほど欲しくて、技術者の数が、企業の売上にほぼ直結している。フリーランス採用を進めているエージェントは、会社の売上に直結する技術者を血眼になって探している。だから大量の広告を打つことが出来る。

 

 

 第二に、会社員とフリーランス(個人事業主)の所得の計算はぜんぜん違う。会社員の手取り給料というのは、税金などが全て引かれた、最終的な金額で入ってくる。

 例えば月に30万の手取りがあったとすれば、30万を基本的に全て自分のために使うことが出来るはずだ。

 

 ではフリーランスで月に80万の売上があったとする。ここから諸経費が引かれていく。エンジニアであればコンピューターの購入費用、スマートフォンの購入費用、名刺の印刷代、各種通信料、オフィスを借りているならば地代、電気光熱費。

 諸経費が引かれた後のお金が、個人で使える所得になるが、フリーランスの場合は、この所得に対して税金がかかる。会社員であった頃は、天引きされているので見えてこなったと思うが、所得税、地方税、個人事業税、年金や健康保険料などを支払っていく必要がある。

 私の例年の感覚的には、所得の 1/3 は確実に税金で持っていかれている。

 

 実際に会社員の時代からどれくらい手取りが増えているかと考えると、そんなに大幅に上がるとは言えないはずだ。

 

 

 第三に、単純にフリーランスには会社員よりも厳しい競争がある。

 会社からは、能力が高くて、できるだけ若い人間が求められる。仕事を取るために、営業活動などのエンジニアリングとは関係のない仕事もしなければならなくなる。

 フリーランスのシステムエンジニアには、年齢は結構深刻で、どんなに経験があっても、年齢で足切りされてしまうという慣習は残っている。結局、若くて脂が乗っているときはよいけれど、ほとんどの人にとっては、長く続けることが出来る働き方ではないのだ。

 

 第四に、フリーランスエンジニアになれば面白い仕事ができるとは限らない。ひとつ確実に言えることは、私たちはソフトウェア開発が好きで、プログラミングがやりたくて、エンジニアになったはずなのに、フリーランスというのはそれ以外の時間が非常に増える。

 事務作業、各種役場への届出、営業活動、会計業務、私はこれに業務時間の2、3割は取られている。日中は、普通の会社員と同じように働き、結局それ以外の時間に、こういった事務作業をやることになる。

 開発に集中したい、という人には、まずオススメできない。

 

 

 私は六年ほどフリーランスでソフトウェア開発に携わってみて、これまでに書いたような印象を持った。いまは法人を設立して、フリーランスの業務もそちらに移行した。

 一人会社なので、やってることはあまり変わらないけど。

 

 開発に集中できないのに、なんでフリーランスをやってたのとか、会社にしたのとかは、また私には別の理由があるのだが、それはまた別のお話。