匠の相駕籠

ソフトウェア開発会社の日常とオピニオン - メメントモリ公式ブログ

力なきもの食うべからず、か?

 囲碁の領域において、人工知能「アルファ碁」がトップ棋士を完全に打ち負かしたというニュースを見た。対戦した棋士によると、「アルファ碁」には私たちが見えていないものが見えているように感じたそうだ。

 近年、ITの分野では人工知能が注目されている。

 

 任天堂の元社長、故 岩田聡さんは言った。

 コンピューターは万能ではないが、人がやるよりも、すごく上手にできることがある。コンピューターが得意なことはコンピューターに任せて、人は人にしか出来ないことに集中させる。コンピューターの役目とはそういうことではないか。

 私はソフトウェアに関わる人間として、この岩田さんの教えを肝に銘じている。

 

 

 様々な分野へ人工知能の活用がすすみ、コンピューターに私たちの仕事が奪われる!という声もたびたび耳にするようになった。

 ネットなどを見ていると「10年後に消える職業」とか「これから食えなくなる仕事」といった煽り記事は、意外と定期的に目にしているような気もする。

 

 しかし、これまでの人の歴史の中で、消えた職業なんて星の数ほどあるだろう。時代が変わり、その変化に取り残された人たちというのは、たくさんいた。どんな時代になっていくかは知らないけど、私たちは変化を受け入れて、その上で生きていくしかない。

 

 

 コンピューターが利用される分野が拡がり、私たち人間は仕事を失っていくという一部の主張は正しいのだろうか?

 失われる仕事もあれば、新しく生まれる仕事もある。私は、人々の前には常に取り組むべき仕事があり続けると考えている。

 

 単純な労働はコンピューターに取って代わられる。専門的な技能を持つ人だけが生き残り、それを身につけられない人は生きていけない時代がくるのだろうか?

 私はこれを「力なきもの食うべからず」論といっている。

 私はこれは人間社会の構造からして間違っているし、実際そうはならないと思う。

 

 

 私たちの社会を構成している 99% の人は、新しいものを生み出す人ではない。

 この世界に生まれて、その一生を終えていく。

 

 しかしこの世は、1% の影響力を持つ人々によって動いているわけではない。99% の市井の人々が中心となっている世界であることを忘れてはならない。(さらに付け加えるなら、その 1% の影響力を持つ人々はたびたび重大な間違いを犯してきているのだ)

 

 私は「力なきもの食うべからず」というのは間違っていると思う。

 力なきものこそ、幸福に生きていける社会でなければならないと思う。

 

 

 哲学者のアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドという人は言った。

文明を発展させるには、
人間が考えずに出来る行動を増やすことである。

 私は、コンピューターやソフトウェアというのは、こういう使命を持って生まれてきた技術ではないかと思っている。

 

 人に気づかれないレベルまで浸透して、私たちの行動の質を上げてくれるのだ。

 人工知能に限らず、いろいろな情報技術がそういう進化をしてくれると嬉しいと思う。