匠の相駕籠

ソフトウェア開発会社の日常とオピニオン - メメントモリ公式ブログ

ここはレイプ先進国

伊藤詩織氏の『ブラックボックス』を読んだ。

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TBSワシントン支局長(元)という権力者からレイプ被害を受けた。

逮捕状が発行され、逮捕目前だったにも関わらず、

当時の警視庁、刑事部長の判断により、それが握りつぶされる。

 

この問題を、伊藤さんが自分の実名を出して世に問うたのが、

今年、2017年5月のことだった。

 

時の権力によって、

こんな重大な犯罪がもみ消されるようなことがあっていいのかと、

ずっと興味を持っていた。

 

その伊藤さんが本を出版したことを知り、

先日購入して、さきほど読み終えた。

 

 

まず性犯罪について。

男と女の間には、意識の根本的な乖離があると思った。

 

例えば、私たち男というのは「痴漢」をされた経験は少ない。

それに比べると、女性は「痴漢」をされた経験が圧倒的に多い。

女性にとって「痴漢」されることがどれくらいの恐怖を伴うか、

男は想像できないのではないだろうか?

 

 

この本で初めてちゃんと知ったのだが、

レイプ犯罪では「1.行為があったのか」

「2.そこに同意があったのか」が争点となる。

この後者の「同意があったのか」を法的に立証するのが

現行の法制度では大変難しいとのことだ。

 

同意があったのか、なかったのか。

ここにも男と女の意識の差がくっきりと表れている。

この本の中で紹介されていたが、

NHK「あさイチ」の調査によると

"性行為の同意があった"と思われても仕方がないと思うもの

・二人きりで食事 11%

・二人きりで飲酒 27%

・二人きりで車に乗る 25%

・露出の多い服装 23%

・泥酔している 35%

しかし冷静に考えてみて、

性行為を同意していると勝手に判断できるものは、

この中にひとつもないはずだ。

 

 

私にはスウェーデン出身の友人がいる。

彼に日本の嫌いなところはどこですか?と質問すると、

遠慮気味にこういった。

私が見てきた中で、

とても男女差別が激しい国だと思いました。

私の国では考えられない。 

 

国連薬物犯罪事務所の2013年のデータでは、

人口10万あたりの各国のレイプ事件の件数は以下の通り。

 

1位、スウェーデン 58・5件

3位、イギリス 36・4件

5位、アメリカ 35・9件

87位、日本 1・1件

 

伊藤詩織さんはこれについて調査するため、

実際にスウェーデンに飛んで、現地調査を行っている。

 

詳しくは『ブラックボックス』を読んでいただきたいが、

スウェーデンは警察署内女性比率が31パーセント。

非常に、男女同権が進んだ国である。

(日本は8・1パーセント。警察に限らず、

 日本社会が男性社会であることは

 いろいろなところで言われている。)

 

実際にスウェーデンでは、

レイプ救急センターなどが設置されており、

プライバシーも保護された状態で、

女性は権利を守られたまま保護を受けることができる。

 

 

その為、非常に女性が被害を申告しやすく、

それがデータとして見えやすくなっているだけだと指摘されている。

 

この本の中でも紹介されているが、

日本でレイプ被害を受けた女性が、

勇気を持って警察に行けたとしても、

必ずしも被害届を出せるわけではないのだ。

(被害届を出すと、

 そういった事実を自分の周囲(そして親にも)に知られ、

 社会的地位を犠牲にする可能性が高くなる)

 

 

権力による重大犯罪のもみ消し、

権力の腐敗を、強く糾弾する本だろうと読み始めた。

読み進めるうちに突きつけられた事実は、

日本にある、男性から女性への差別意識だ。

 

 

魂の殺人といわれるレイプ被害を受け、

そこから社会の普遍的な正義を問う

この本を作り上げた、

伊藤さんのジャーナリストとしての腕は

並々ならぬと感嘆した。