匠の相駕籠

ソフトウェア開発者の日常 - メメントモリ公式ブログ『匠の相駕籠(たくみのあいかご)』

仕事と家庭を両立するために変えるべきこと

女性が働きやすい環境について考えていて、先日、スウェーデン出身の友人から、面白い話をいろいろときいた。

 

まず、なぜそんなことを考えているのか。

 

私たちには2人の子どもがおり、妻は専業主婦だ。下の子はまだ2歳で、保育園、幼稚園に行かせてないが、4歳になる頃には、兄と一緒の幼稚園に入れようと思う。

 

その時は、妻は働きたいと言っている。

 

彼女は、私と結婚する前はイラストレーターとして働いていた。 結婚を機会に、仕事を辞めて、その後、すぐに子どもを授かった。子育てを楽しんでいるが、絵の道にも志を立てている。

 

近い将来に、私と妻で共働きということになる。

 

正直、そういう状況になった時に、私は仕事のスタイルをどういう風に変えたらいいのか見当がつかなかった。幼稚園や小学校に子どもが行ったとしても、手がかからないということはない。

 

例えば、妻が、ひとりで仕事を頑張り、育児や家庭も頑張る。これは、あっという間に破綻してしまうだろう。育児、家庭をひとりでやることすら無謀なのに。

 

 

私たちの話に限らず、日本は共働き家庭がどんどん増えている。

 

男は仕事を頑張り、女は家庭を守るというのは、状況的にはとっくに昔の話となっている。女性の社会進出という潮流は、男だけの稼ぎでは食えなくなっているという現実もあるし、日本の人口減少による深刻な労働力不足もあるだろう。女性にも働いてもらいやすい社会構造に変える必要がある。

 

日本の夫婦共働きという状況は、今後さらに加速していく。そんなさなかにある私たちは、どのように考えを変えるべきなのか?

 

 

男女同権が、非常に進んだうらやましい国のひとつに、スウェーデンという国がある。北欧諸国の福祉の充実度は、ネット界隈でも有名だが、わたしは伊藤詩織著『Black Box』を読んだときに、その凄さを改めて知った。

 

スウェーデンは女性の社会進出が、世界的にもトップクラスで、警察、政治家などにも男女にあまり偏りがない。また友人から聞いていた話だが、子どもを持つ女性はほとんど社会で働いており、夫婦共働きが当たり前になっている。

 

まさに夫婦共働きの先進国。私たちには見習うべきところが多くありそうだ。そんなわけで、私には運良くスウェーデンの友人がいたこともあり、彼から詳しく話を聞いた。

 

まず日本とスウェーデンの社会制度の違いについて見ていこう。

 

 

(以下注意:スウェーデンの友人から直接聞いた話を根拠にしており、法的な裏付けは取っていません。厳密には正確ではないかもしれませんので、引用等にはご注意ください。) 

育児休暇

スウェーデンでは、男女ともに9カ月ずつ育児休暇を取ることが出来る。日本のように、実際には育児休暇を取る男性がほとんどいないということはない。

 

さらに日本と大きく異なると感じたのは、その柔軟性だ。育児休暇を時間で分割して、細かく休むということも可能らしい。

 

具体的には、例えば最初に6カ月休暇をまとめて取る。そのあと残った3カ月を、毎日2時間ずつ、少しずつ分割して使うようなことができるらしい。毎日2時間の短縮勤務を、3カ月分使い切るまで、続けられるわけだ。

 

 

これを男性と女性がそれぞれ、うまく組み合わせることで、子どもが幼稚園に通えるくらいになるまで、育児休暇と短縮勤務を続けることができるらしい。

 

育児休暇中の給与

日本の企業には育児休暇中の給与を支払う義務はないが、一部の大手企業などは50%ほど支給するところもあるようだ。だが、スウェーデンは80%の給与が支給される。そして、これは法律で守られている。もちろん男女ともに。

 

育児施設について

日本で言うところの幼稚園、保育園は、ほとんどの場合、6時くらいまでは子どもを預かってくれる。親が仕事を終えるまで、安心して預けることが出来る。

 

小学校について

日本で言うところの学童保育(留守家庭)で過ごす子どもたちは多い。

昔の日本では、学童保育で過ごす子どもは限られていたような気がするが、スウェーデンでは夫婦共働きということで、より一般的だと思われる。

 

私はここで、個人的に次のような質問をしてみた。スウェーデンの子どもたちは、両親と過ごす時間が少なくて、寂しい思いをしないのか?

 

具体的には、私の姉夫婦の家庭について話をした。

 

姉夫婦は共働きで、旦那さんは夜遅くまで仕事。姉は夕方まで仕事で戻らない。子どもは小学生と幼稚園の3人がいるのだが、子どもたちは、その寂しさから泣くのだという...。

 

 

しかし、スウェーデンで育ったその友人には、あまり共感しない話だったようだ。というのも両親が働いていることで、そこまで寂しい思いをした記憶がないらしい。

 

 

うーむ。この謎については、後ほど分かったことが関係しているので、ここでは置いとく。

 

残業について

スウェーデンでは男女ともに、残業はない。会社から残業を指示されたとしても、仕事で残る必要はなくて、特に子どもがいる人たちは、もってのほかだそうだ。

 

世界的に見ても長時間労働をする日本人は不安になるかもしれない。しかしスウェーデンの製品を見よ。Minecraft を生み出したのはスウェーデンの企業だ。Spotify を作ったのはスウェーデンの企業だ。アウトプットが見劣るということは決してないはずだ。残業しなくても。

 

 

 

以上は、日本とスウェーデンの制度的な違いだ。

 

私は友人と話をしている中で、もう一つの大きなポイントに気がついた。

 

それは男性と女性の意識の差だ。

 

日本では、長く男尊女卑が続いてきた。そして残念ながら、いまも根強いと言わなければならない。

 

男は外で働くもの、女は家庭を守るもの。もし女が働くのであれば、家のことを十分にやってから、暇つぶしで働け。

 

実は日本の男たちは、そんなふうに思っているのでないか?

 

 

私はこれについて真剣に考えてみた。男には成し遂げたい仕事があるのと同様に、女性にも夢、やりたい仕事があって当然のはずだ。

 

女性にやりたい仕事があっても、育児や家庭のため、一方的にそれを犠牲にしなければいけないのは、ただの男女差別だろう。

 

 

スウェーデンの話を聞いていると、男の意識が日本とはまるで異なる。女性が社会に出てくるのは当たり前で、女性にも男と同じように働く権利がある。そしてそのために、男性が女性とおなじだけ家庭に関わる義務があるのだと、男たちは考えている。

 

 

さきほど、日本の夫婦共働き家庭では、子どもが寂しい思いをするという話をした。よく考えてみると、子どもが寂しい思いをするのは、一緒に過ごした時間の過多ではない気がした。

 

父親も母親もクタクタになるまで働いて、家では子どもたちと向き合って過ごすことが出来ないでいる。だから子どもに辛い思いをさせるのではないか。

 

夫婦共働きという環境では、残業をしないというのは合理的な制度だと思う。一日の半分は仕事をして、一日の半分は家庭で過ごす。それを男女でうまく分担するからこそ、仕事と家庭も両立できるのだろう。

 

スウェーデンでは男性も女性も、仕事と家庭が両立するように生活している。だから子どもたちは寂しい思いをすることが少ないのではないだろうかと思う。

 

 

日本とスウェーデンは、その充実度には違いがあるが、制度だけで見れば似たような施策を行っている。しかし、いくら制度を真似たところで、根本的な男女の意識の違いが変わっていく必要があると思う。

 

 

私は結構遅くまで仕事で働いてしまうし、その埋め合わせのように土日に家族サービスをする生活をしていた。しかしそれも甘えた話だな思う。

いまはそれを許してくれる妻に甘え、好きなだけ仕事をやらせてもらっている。だが、近い将来、妻も働き始めたときは、わたしも仕事のやり方を変える。

 

男も女と同じだけ家庭に関われるようにする。

 

それが実質的に可能なように、僭越ながら私たちの会社の仕組みを整えていこうと思っている。