匠の相駕籠

ソフトウェア開発者の日常 - メメントモリ公式ブログ『匠の相駕籠(たくみのあいかご)』

採用のこと

 乗り越えることができた、というわけではないけど、ようやく気持ちの整理がついたんだなと思えるようになってきたので、その事について書こうと思います。

 

 フリーランスから法人成りしたのが、2017年初頭なので、現在は2年目、8月決算なので第3期に入りました。会社にすることにした、いくつかの理由の中のひとつは、ちゃんと人を採用しようと決めたことです。

 

 これまで一度も、会社としてはマス(大衆)に向けた採用は実施していません。たとえば、求人票を出すとか、求人広告を出すとか、そういった採用活動は、まだ手段として取っていません。わたしはまだ一人で活動しているし、最初に一緒にやる人は、とても大切な人になります。出不精なわたしですが、わたしの数少ない活動の中で出会った人や、一緒に仕事をしたことのある人の中から、一緒に仕事をする人を探そうと決めていました。

 

 

 これまでも何人かの人に、一緒にやりませんか?と声をかけたことがあります。これまで出会った中で、仕事の上で最も尊敬している人。長いこと仕事について話をし続けて、意気投合のような状態になった人。力を持っているのに、道に迷っているように見えた人。

 

 誰でもよい、と思っていたわけではなく、清水の舞台から飛び降りるような決意で相談をしましたが、結果的にはすべての方に断られていました。断られている理由は様々ですが、わたしも仕方がないと、納得することができていました。

 

 さすがに、ちゃんとした人に声をかけているつもりでしたので、なかなか簡単には行かないよなぁと思っていました。

 

 

 

 この半年間ほど、『チャレキャラ』を通して出会った人なのですが、わたしが熱心に勧誘している人がいました。非常に優れた技術力を持っていることは明らかで、ちょっと話をしただけピンときたのですが、優れた洞察力と意志をもっていました。

 

 彼はまだ学生ですが、望めば、多分、自分の望みどおりの就職が叶うだろうなというタイプの人でした。

 

 最初はお互いのことをよく知りませんので、ご飯を食べながら、いろいろな話をしていました。途中から、間違いなさそうだなと思い、本格的に採用の検討を前提とした、アルバイトに来てもらえないかと考えていました。これは、わたしが彼と実際に一緒に仕事をしてみてどうなのかを見たいというのがありますが、彼にとってもわたしを見てもらうためのものでした。

 

 三顧の礼というやつも使いました。会いに行くときは、こちらから必ず出向いて話をしに行きました。

 

 わたしの会社は小さな会社ですので、社員待遇が非常に良いわけではありませんが、できる限りの待遇を提示して、最終的にはまず一度来ていただけないかというお願いをしていました。

 

 

 結局、この話はうまくいきませんでした。

 

 彼も責任感が強く、いますでにやっている他のアルバイトで重要な役目を与えられているので、それを辞める気もなく、就職についても、以前ちらっと話題に出たことのある大手に、気持ちを固めているようでした。

 

 

 わたしはこのとき、使えるカードをすべて使い切って、尽くせる誠意をすべて尽くしてみても、たった一人の人の気持を動かすこともできないのかと、呆然としました。

 

 このときの心境は、完全に失恋と同じでした。

 

 どんなに思ってみても、うまく行かないことがあるんだなと思いました。

 

 

 とは言っても、アルバイトすら検討してもらえなかったことは、わたしには非常にショックで、無力感に陥りました。これまでも求人には失敗し続けていたこともあって、わたしがやろうとしていることには、何の価値もないのだと、気持ちが追い込まれてしまいました。

 

 失恋では、時間というものが、ある程度心を整理してくれます。今回も、たしかにそれがあって、いろいろと心の整理はできました。

 

 

 まずこれまでの求人が失敗し続けていることも、今回の件も、やはりわたし自身に一番の不足があります。彼らを引きつけることもできないのは、わたしの底の浅さが、そのまま結果として出ているのは、間違いありません。

 

 素晴らしい力を持っている人は、相応の努力を積み重ねてきていますが、わたしはそれに比類するだけのことを、成してきたのかと考えると、至って平凡に暮らしてきました。天が残酷であるのは、わたしに相応しているからです。

 

 一言で言うと、最近はすごく反省をしていました。

 

 

 でも出来ることから一つずつ、取り返していかなければならないという元気がようやく戻ってきて、最近はやるべきことを成そうと行動を再開しました。

 

 その一つは、先日から手伝っているNPOでの活動もあると思います。

 

 NPO での活動は、元気が戻ってくる感じがあります。わたしはこれまで、何かをするということは、それに対する対価を得るという経験しかしてきませんでした。ギブ(与える)に対して、テイク(見返り)が必ずある。仕事は、労働の対価として、よりよい利益を求めます。

 

 『喜捨(きしゃ)』という言葉がありますが、喜んで自分が持っているものを差し出して、見返りはない、捨てるということで、寄付とほぼ同じ意味があります。ありがとうすら、捨てるというのは、実際には割と気楽で、気持ちがいいもんなんだなと思っています。

 

 

 そういった中で、ようやく元気が戻ってきた気がしていて、なんとなくこの事を文章として書くことが出来るようになった気がします。

 

 

 最近読んでいた吉川英治の宮本武蔵からの引用で申し訳ありませんが、人生の中で、この人こそ出会うべき人だった、と思えるような相手は、ひとが一生をかけても、一度あるか、ないかだそうです。

 

 求人だけの話ではなく、仕事の上でも、そういった相手に巡り会えるように、これから頑張ろうと思います。